チュニジアは、国教をイスラム教と定め、人口の約99%をもイスラム教徒が占める、れっきとしたイスラム国家です。地中海沿いに立ち並ぶ白壁にチュニジアンブルーの窓枠が映える邸宅や壮大なローマ遺跡ばかりを目にしていると、ついその事実を忘れてしまいそうになりますが、7世紀以降に造られた各都市の旧市街(メディナ)に一歩でも足を踏み入れれば、はたと思い出されます。メディナの入口には門があったり、また全体が城壁で囲まれていたりして、その外と中との空気の質感があまりにも違っているのです。近代的な建物、整然と立ち並ぶ街路樹、そして広い道路を自動車や人がせわしなく行き交う外。対して中は、古めかしい家屋、アザーンを流し続けるモスク、迷路のように入り組んだ小道、所狭しと展開する市場や商店(スーク)、そしてどこからともなく香ってくるスパイス・・・、もう全くの別世界です。ここ最近ヨーロッパ西洋文化にどっぷりと浸かっていたので、それはとても刺激的でありました。
上の写真は、チュニジア第3の都市スース(Sousse)のメディナ。城壁に囲まれた町が、なだらかな丘の上に展開しています。南北約700m、東西約450mに渡るとのことなので、かなりの規模。8世紀に建てられたリバトという要塞の塔に上って一望する町並みは、雑然としつつもどこか1枚の絵画のように見えました。スースは、チュニスから南に鉄道で約2時間半にあります。
こちらはスースからバスで約1時間南西にいったところにあるケルアン(Kairouan)という町のグランドモスクです。恥ずかしながら今回訪ねるまで知らなかったのですが、このケルアンはイスラム教徒、特にスンニ派にとっては極めて宗教的に重要な都市らしいです。北アフリカにおけるイスラム教発祥の地という歴史的背景から、メッカ、メディナ、エルサレムに次ぐ第4の聖都に位置づけられているとのこと。もちろん巡礼対象で、ケルアンへの7回の巡礼は、メッカへの1回の巡礼に値すると言われているのです。そのような事実を知ったからでしょうか、信者の宗教的意識を纏っているからでしょうか、グランドモスクは異教徒は立ち入り禁止でしたが、外から見ても威厳に満ちているように感じられました。
一方で、ケルアンのメディナの街角はこういう小さい路地が入り組んでいて、グランドモスクの荘厳さから一変、素朴さに溢れていました。ケルアンがチュニジア第5の都市だということがにわかには信じがたいほどです。長年の人々の営みが路地に染み込んでいるように感じられました。
かわって、チュニジア第2の都市スファックス(Sfax)。スースから南にさらに約2時間下ったところにあります。人気観光地ではないのですが、ガイドブックの「チュニジアの大阪」というフレーズに心ひかれて、いや、むしろ大阪人としての義務感にかられて、訪ねることにしました。都市規模が2番目であることに加えて、スファックス出身者は倹約家(ケチ)でビジネスで成功している人が多いことから、そのように比喩しているようです。たこ焼きはなかったけれど。メディナの入口には重厚感たっぷりの立派な門がずでんと構えていました。
そしてこれが、チュニスのメディナです。もういかにも、「アラブ・ストリート」。観光客目当てではあるのですが、店先に並ぶカーペットや水たばこがイスラム旅情を大いに盛り上げてくれました。
チュニスのメディア内に立つシディ・ユセフ・モスク(Mosquee Sidi Youssef)。17世紀初めに造られたトルコスタイルのモスクだそうです。バルコニーの付いた八角形のミナレットがおしゃれ。
こんな各町のメディナ。ぶらり歩きをしているだけで発見の連続で、全然飽きることがありませんでした。日本人にとってはほぼ完全な異文化体験。好奇心がくすぐられ、時間が経つのも忘れてしまうほどでした。
わー、すごーい、アラビアンナイトの世界だ。
こういうバザールの景色とか
観光客目当てだとしても
やっぱりわくわくしちゃうなー。
中世ヨーロッパの人たちがここへきたときの驚きの感覚は
同じようなものだったのかもしれないね。
日本へもたこ焼きのケータリングをぜひお願いします。
投稿情報: hitsuji | 2009-02-17 10:12
>hitsujiさん
そうそう、アラビアの世界。
何だか現実なのに現実じゃないみたいで、本当に胸が躍るよね!
日本に来る外国人も、京都に来たりしたら同じようなこと思うのかなあ。
たこ焼き、冷えちゃうよ・・・。
投稿情報: Shibuya | 2009-02-18 04:51